「物流倉庫」と聞いて、どんな場所を想像するでしょうか。
暗い。荷物が山積み。夏は暑そう。 フォークリフトが走り回っていて、 少し汚れた巨大な建物――。
映画やドラマに登場する倉庫も、 だいたいそんなイメージで描かれています。
しかし最近の物流倉庫を調べてみると、 私たちが持っている「倉庫」のイメージとは かなり違う施設が増えていました。
明るくきれいな施設に、カフェテリアやラウンジ。 さらに倉庫の中ではロボットや自動搬送機が働いているケースもあります。
今回は、 物流倉庫がどのように進化しているのか を調べてみました。
そもそも「昔の倉庫」のイメージは?
一般的に倉庫というと、 商品や原材料を保管するための大きな建物というイメージがあります。
以前は倉庫に求められる役割も、 「荷物を安全に保管できること」 が中心でした。
そのため、利用者から見えないバックヤードである倉庫に、 ホテルやオフィスのような快適性まで求められることは それほど多くありませんでした。
外観は鉄骨や波板でできたシンプルな建物。 倉庫の前にはパレットや荷物が並び、 トラックやフォークリフトが頻繁に出入りする。
こうした姿は、現在でも多くの物流現場で見ることができます。
倉庫内では、 棚から商品を探し、台車やフォークリフトを使って運び、 紙の伝票を確認しながら作業する――。
人が倉庫内を歩き回って商品を探すことも、 珍しい作業ではありませんでした。
ところが最近の物流倉庫はかなり違う
現在、新しく建設されている大型物流施設を見ると、 倉庫に対する印象はかなり変わります。
- 保管が中心
- 暗い・閉鎖的
- 人が歩いて商品を探す
- 紙や目視による管理
- 働く環境は最低限
- 保管+仕分け+流通加工
- 明るく清潔
- 機械・ロボットを活用
- デジタルで在庫管理
- 働く人の環境も重視
最近の倉庫、外から見てもかなりきれい
特に変化が分かりやすいのが、 近年建設されている大型の物流施設です。
白やグレーを基調とした外壁、 整備されたトラックバース、 きれいに舗装された構内道路。
物流倉庫というより、 大型のオフィスや商業施設のように見える建物 も増えています。
もちろん、日本中の物流倉庫がこのような施設に変わったわけではありません。
こうした設備が充実しているのは、 新築の大型物流施設や、 複数の物流会社が入居する マルチテナント型物流施設 などが中心です。
なぜ倉庫をそんなにきれいにする必要がある?
物流施設がきれいになっている理由は、 単なる「見た目」の問題ではありません。
大きな理由の一つが、 物流業界の人手不足です。
どれだけ大きな倉庫を建てても、 そこで働く人が集まらなければ物流拠点として機能しません。
実際に最近の大型物流施設には、 これまでの「倉庫」のイメージとはかなり違う設備があります。
例えばESRの大型物流施設では、 ラウンジやショップ、フィットネスジム、シャワー、 コインランドリー、パウダールーム、託児施設などを備えた事例があります。
GLPの物流施設でも、 カフェテリアや休憩スペースなど、 働く人の快適性を意識した施設づくりが行われています。
中身も進化|「人が商品を探す」から変わり始めた
変わっているのは建物の外観だけではありません。
倉庫の内部では、 自動化・デジタル化が急速に進んでいます。
従来は、 作業員が棚まで歩いて商品を探し、 ピッキングしていました。
しかし自動化された倉庫では、 棚や商品を載せたロボットが 作業員のいる場所まで移動する仕組みもあります。
国も「物流施設DX」を進めている
こうした倉庫の進化は、 一部の大企業だけの話ではありません。
国土交通省も物流施設における 自動化・機械化・デジタル化 を支援しています。
物流施設のDXでは、 単にパソコンやシステムを導入するだけではなく、 自動搬送設備、自動仕分け設備、 倉庫管理システムなどを組み合わせて、 物流業務全体を効率化することが求められています。
トラック側から見ても倉庫は進化している
物流倉庫の進化は、 倉庫で働く人だけに関係する話ではありません。
トラックドライバーにとっても、 倉庫の設備は非常に重要です。
例えば最近では、 トラックの到着時間を事前に予約する トラック予約受付システム を導入する物流拠点があります。
従来のように、
「早く着いたトラックから順番に荷卸し」
という運用では、 多くのトラックが同じ時間に集まり、 長時間の荷待ちにつながる場合があります。
到着時間を分散させれば、 倉庫側は作業計画を立てやすくなり、 ドライバー側も長時間待つリスクを減らせます。
そもそも倉庫の役割自体が変わっている
ここまで見てくると、 物流倉庫の進化は、 単に「建物がきれいになった」という話ではないことが分かります。
商品・原材料を安全に保管する。
行き先ごとに商品を分類する。
検品、包装、ラベル貼りなどを行う。
トラックへの積込み・配送を効率化する。
在庫や入出荷状況をリアルタイムで管理する。
人材確保のため快適な職場環境を整える。
昔の倉庫が 「荷物を置いておく場所」 だったとすれば、
現在の物流施設は、 「商品を効率よく動かすための物流拠点」 へと変化していると言えます。
じゃあ、日本中の倉庫が全部きれいになった?
ここは注意が必要です。
答えは、 「いいえ」です。
今回紹介したような施設は、 新しく建設された大型物流施設や、 大手物流不動産会社が運営する施設などが中心です。
地方の中小倉庫、 築年数の古い物流施設、 工場に併設された倉庫などでは、 従来型の設備を使い続けているケースもあります。
物流業界では、 最新型の大型物流施設と、 従来型の倉庫が同時に存在しています。
国が物流施設のDXや自動化を支援していることからも、 自動化・デジタル化が物流業界全体に 完全に普及したわけではないことが分かります。
これから倉庫はさらにどう変わる?
今後は、 倉庫の中だけではなく、 トラック輸送まで含めた物流全体の自動化が進む可能性があります。
自動運転トラック、 自動物流道路、 自動荷役、 倉庫ロボットなどが連携すれば、
そうなれば、 倉庫は単なる建物ではなく、 物流ネットワークの中で情報と荷物を制御する 「物流インフラ」 に近い存在になっていくかもしれません。
まとめ|「暗い・汚い倉庫」はもう昔?
- 昔の倉庫は「荷物を保管する場所」という役割が中心だった
- 最近の大型物流施設は明るく清潔な施設が増えている
- カフェテリアやラウンジなどを備える施設もある
- 人手不足を背景に、働く環境の改善も重視されている
- 倉庫内では自動倉庫、AGV・AMR、WMSなどの導入が進んでいる
- トラック予約やバース管理など、倉庫の外側もデジタル化している
- ただし、日本中の倉庫が最新型になったわけではない
「物流倉庫」と聞くと、 暗くて荷物だらけの場所を想像する人は、 まだ多いかもしれません。
しかし実際には、 最新の大型物流施設を中心に、 そのイメージとはかなり違う倉庫が増えています。
建物がきれいになっただけではありません。
ロボットやシステムを使って物流を効率化し、 働く人が快適に過ごせる環境を作り、 トラックの荷待ちまで減らす。
つまり物流倉庫は、
数十年後には、 私たちが現在持っている 「倉庫」という言葉のイメージ自体が、 大きく変わっているのかもしれません。
