国交省が「置き配」を標準化!でも…盗難・トラブルは増えないのか?

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国土交通省(国交省)が置き配を標準サービス化へ

国交省は2025年11月、「置き配」(配達員が荷物を玄関先など指定場所に置く配達方法)や宅配ボックスへの配送を、宅配便の標準サービスとして扱う方針を示しました。。従来、宅配便は受取人と対面での手渡しが基本ルールでしたが、これを改正して多様な受け取り方法を正式に認めることで、再配達削減や配達員の負担軽減を目指します。標準運送約款(宅配便の基本規定)の改正作業が進められており、施行は2026年度以降になる見通しです。この改正により、自宅玄関先での置き配、マンションの宅配ボックス、駅・公共施設の宅配ロッカー、コンビニ受け取りなどが正式な受取方法の選択肢として明示される予定です。

背景には深刻な物流業界の人手不足と再配達による負担増があります。国交省によると、大手宅配業者の1人あたりの月間配達個数は2023年度に約2633個と2019年度比で3割増加しました。また再配達率は2025年4月時点で8.4%に上り、政府が掲げる目標の6%を依然上回っています。こうした状況を受け、再配達の削減は急務となっていました。

置き配のメリット:ラストワンマイルの効率化

標準サービスに置き配を加えることで、ラストワンマイル(配達の最終区間)の効率化が期待されます。受取人不在による再配達が減れば、配達員は無駄足を踏まずに済み、1件あたりの配達にかかる時間が短縮され、その結果、より多くの荷物を配達可能となり、宅配各社の業務効率向上や売上増加につながるでしょう。配達件数が増えて業績が上がれば、配達員の給与アップや待遇改善にも寄与すると考えられます。実際、再配達削減にメリットがあることから、将来的には「対面手渡しではない受け取り方法」を選択した場合に料金割引を行うサービスが広がる可能性も指摘されています。企業側も置き配を推進する動きを見せており、大手のヤマト運輸は2024年に自社約款へ置き配に関する項目を追加するなど準備を進めています。佐川急便も「顧客の安全と満足度を最優先に、置き配を含む多様な配達方法に柔軟に対応していく」とコメントしており、業界全体で置き配を取り入れる流れが加速しています。

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懸念点:盗難リスクとモラルの問題

一方で、置き配にはモラル面の課題もあります。受取人の不在中に荷物を玄関先へ置くため、他人に盗まれるリスクがゼロではありません。置き配が主流のアメリカでは、こうした置き配泥棒(いわゆる“Porch Pirates”)による荷物盗難が社会問題化しています。ある報告によれば、米国では2023年だけで約1億1,900万個もの荷物が玄関先から盗まれ、被害額は80億ドル規模に上ったと推計されています。日本は一般的に治安が良いとされていますが、それでも置き配が広く普及すれば盗難トラブルが発生する一定のリスクは残ります。

また、盗難以外にも破損誤配のリスクがあります。雨風で荷物が濡れたり、置き場所によっては踏まれたりして破損する恐れ、あるいは間違った住所に荷物が置かれてしまうケースも考えられます。こうしたトラブルが起きた場合、購入者が商品を受け取れず損害を被る事態にもなりかねません。

安心して利用するための対策:保険や仕組みの整備

国交省も置き配標準化にあたり、盗難や破損などトラブルへの対策指針をまとめる方針です。具体的には、利用者の安心感を確保するために①盗難・破損防止策、②万一トラブル発生時の保険加入など適切な対応策、③責任分担の明確化、これらの内容を盛り込んだガイドラインを示す見通しです。この指針作りにより、置き配利用時のルール整備や補償制度の充実が期待されます。

利用者側の対策としては、荷物の受取時間指定を活用して在宅時に受け取る工夫や、防犯カメラ・スマートドアベルの設置で盗難抑止効果を高める方法も考えられます。加えて、心配な方は保険サービスの活用も有効です。例えば、ヤマト運輸が提供する賃貸住宅向け火災保険「クロネコ『家財もしも保険』」では、自宅の家財だけでなく置き配された荷物の盗難被害も補償対象になっています。月額数百円程度の手頃な保険料で加入でき、他社宅配便による荷物でも補償されるため安心です。また、日本郵便や東京海上日動火災保険が提供する『置き配盗難サポート』というサービスもあります。これはECサイトの購入時に置き配指定した荷物が盗難に遭った場合、所定の手続きをすれば保険金が支払われる仕組みです。こうした保険や補償制度を適切に活用すれば、万一荷物が盗まれたり破損した場合でも金銭的な損失を補填できます。

「たとえば、Amazonで置き配を指定して購入した商品が玄関先から盗まれてしまった場合、まずは自宅周囲を確認後、アプリやウェブからカスタマーサービスに連絡を。状況を伝えることで、同じ商品の再配達または購入金額の返金という補償案内が出るケースがあります。その際、配達証明(配達完了ステータス)や写真・防犯カメラ映像があると手続きはスムーズです。また、公式サイトでは“雨濡れ・盗難でも状況を伺った上で再送または返金”と明記されており、ある意味では無料のアフターケアとも言えます。ただし、補償内容はケースバイケースなので、安心のためにも宅配ボックス設置・防犯カメラ活用など事前対策を講じておくことが賢明です。

まとめ

置き配の標準サービス化は、宅配の効率化と働き方改善に寄与する大きな転換点となる取り組みです。再配達削減により物流網の維持と配達員の負担軽減が期待でき、利用者にとっても配達を待つストレスの軽減やサービス向上につながるでしょう。一方で、置き配には盗難など新たな課題も伴います。国や業界もリスクを踏まえ、対策の具体化を進めています。保険制度や宅配ボックス普及など、安心して利用できる環境づくりが段階的に進展しています。今後は利用者一人ひとりが防犯意識を持ちつつ、サービス提供側と協力して新しい受け取り方法を定着させていくことが求められます。日本の治安の良さやサービス品質を背景に、置き配がより安全に利用できる環境が整うことが期待されます。

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