2025年4月から「実運送体制管理簿」:実施の背景、対象業者を徹底解説。多重下請け是正につながるのか?

新人ドライバー 太郎

茂さん、最近「実運送体制管理簿」って言葉をよく聞くんですけど、何なんですか?なんだか難しそうで…。

ベテランドライバー 茂

お、太郎。いい質問だな!これは2025年4月から元請事業者に義務付けられる新しい制度のことだ。物流業界では多重下請構造が問題になっていて、それを是正するために作られたんだよ。

新人ドライバー 太郎

多重下請構造って、どういうことですか?

ベテランドライバー 茂

簡単に言えば、元請が1次下請に仕事を渡して、その1次下請がさらに2次下請に…って感じで仕事が回されることだ。これが進むと、実際に運送を担当する人たちの収入が減ったり、労働環境が悪化したりするんだ。

新人ドライバー 太郎

なるほど…。それで「実運送体制管理簿」が必要になるんですね。でも、それって僕たちドライバーにも影響あるんですか?

ベテランドライバー 茂

もちろんだ。例えば、この管理簿がしっかり運用されれば、適正な運賃が確保される可能性が高まる。そうなると、俺たちドライバーの収入や労働環境も改善されるかもしれない。ただし、元請や下請事業者には新しい作業負担も増えるから、一筋縄ではいかないだろうな。

新人ドライバー 太郎

そうなんですね…。でも具体的には何を記録するんですか?

ベテランドライバー 茂

記録する内容は、例えば「実際に運送を行う事業者の名前」「貨物の内容」「運送区間」「何次下請か」などだ。それを元請事業者がまとめて保管するんだよ。

新人ドライバー 太郎

なるほど!でも違反したらどうなるんですか?

ベテランドライバー 茂

いい質問だな。現時点では罰則規定はないけど、行政処分として警告や車両停止命令が出る可能性はある。だから元請や下請事業者は注意しないとな。

新人ドライバー 太郎

わかりました!僕ももっと勉強しておきます!

目次

「実運送体制管理簿」とは?詳しく解説!

本記事は国土交通省近畿運輸局の資料を元に解説していきます。

1. 実運送体制管理簿とは?本記事は国土交通省近畿運輸局の資料を元に開設

「実運送体制管理簿」は、2025年4月から改正貨物自動車運送事業法に基づき導入される制度です。この管理簿は、多重下請構造の透明化を目的としており、元請事業者に作成・保管が義務付けられます。

記録する項目には以下が含まれます:
・実際に運送を行う事業者の名称
・貨物の内容
・運送区間
・下請階層(何次下請けか)
・その他 国土交通省令で定める事項

2. 作成義務化の背景

物流業界では、多重下請構造による以下の問題が指摘されています:

  • 運賃の低下
  • ドライバーの労働条件悪化
  • 下請構造の不透明化

これらを是正するため、「実運送体制管理簿」の作成・提供が義務化されました。この制度によって、荷主や元請事業者も再委託状況を把握しやすくなり、適正な運賃確保につながると期待されています。

3. 対象事業者と取引

  • 対象事業者: 荷主から直接契約を受けた元請事業者(一般貨物自動車運送事業者)。
  • 対象外: 利用運送事業者(トラックを保有せず他社に委託する事業者)。
  • 対象取引: 1.5トン以上の貨物運送。ただし、小口配送や緊急時は除外。

3.1. 対象外事業者について

2. 「対象外」となるケース

以下のような場合は、実運送体制管理簿の作成義務が「対象外」となります:

  • 利用運送事業者の場合
    自社でトラックを保有せず、他社に運送を委託する利用運送事業者は作成義務の対象外です。ただし、荷主から説明責任を求められる場合があるため、任意で作成することが推奨されます。
  • 小口配送や1.5トン未満の貨物運送
    小口配送や軽量貨物(1.5トン未満)の場合は対象外となります。
  • 特定条件下での例外
    元請事業者が常に同一の下請事業者に委託している場合など、一部例外的な条件では作成が免除されることがあります。

4. 作成方法と保管

  • 形式自由: 電子データや紙媒体でも可。
  • 保管期間: 運送完了日から1年間。

5. 罰則規定

現時点では罰則規定はありませんが、以下の場合には行政処分(警告や車両停止命令)が科される可能性があります

実運送体制管理簿の作成義務化、および改正貨物自動車運送事業法は2025年4月に施行予定です。

2025年1月現在、「実運送体制管理簿」の作成に関しては罰則規定は設けられていません。しかし、作成に不備がある場合や義務を果たさなかった場合には、貨物自動車運送事業法違反とみなされ、改善命令や勧告などの行政処分を受ける可能性があります。

予定されている行政処分の基準では、初めての違反の場合は警告や軽微な処分が行われる一方、再違反が発生した場合には車両停止命令や事業停止命令など、より厳しい措置が取られる可能性があります。

実運送体制管理簿に関する違反内容行政処分
作成なし5件以下初違反:警告
再違反:10日車
作成なし6件以上15件以下初違反:10日車
再違反:20日車
作成なし16件以上初違反:20日車
再違反:40日車
記載事項等の不備初違反:警告
再違反:10日車
実運送体制管理簿の一部据え置きなし初違反:警告
再違反:10日車
実運送体制管理簿のすべて据え置きなし初違反:20日車
再違反:40日車

行政処分の対象となる事業者は、必ずしも元請事業者ではありません。必要事項の通知不備があれば、下請事業者が対象になるケースも考えられます。

実運送体制管理簿に関する違反内容行政処分
実体制管理簿にかかわる通知義務違反初違反:警告
再違反:10日車

以上の行政処分については、2025年2月に通達発出予定、同年4月に施行予定です。

6. 実務への影響

この制度は物流業界全体に大きな影響を与えると予想されています。

  • メリット
    • 適正な運賃確保
    • ドライバーの収入・労働環境改善
    • 下請構造の透明化
  • 課題
    • 元請・下請事業者への負担増加
    • 新しいシステム導入コスト

まとめ:ドライバーにも関係する大切な制度!

「実運送体制管理簿」は、多重下請構造を是正し、物流業界全体を健全化するための重要な取り組みです。特にドライバーにとっても適正な報酬や労働環境改善につながる可能性があります。一方で、新しい作業負担やコスト増加など課題も多いため、元請・下請双方で協力して対応していく必要があります。

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