2025年7月から高速道路の長距離割引が拡大!知らなきゃ損最大50%OFFの新制度を解説

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高速道路料金の深夜割引の見直しが2025年7月に運用開始予定であることは多くのドライバーが知っていますが、実はこの深夜割引の新制度開始と同時に**「長距離割引」の拡大も予定されていることをご存じでしょうか。高速道路の長距離割引(正式名称「長距離逓減制」)とは、高速道路での移動距離**が一定以上になると自動的に通行料金が割引される制度です。割引額は料金に常時反映されているため、普段意識する機会が少なく見過ごされがちですが、実際には一度の走行距離が100kmを超えるようなドライバーは既に恩恵を受けています。本記事では、この長距離割引の仕組みと2025年7月に予定されている拡充内容について、現行制度との比較や具体的な料金シミュレーションを交えながら詳しく解説します。

目次

意外と知られていない長距離割引「長距離逓減制」の仕組み

まず、高速道路(高速自動車国道)の普通車料金は基本的に**「走行距離1kmあたり24.6円+基本料金150円」という計算式で算出されます(※大都市近郊区間など一部を除く)。しかし一度の走行距離が100kmを超えると割引が適用され、100kmを超えてから200kmまでは25%割引**、さらに200km超過分は一律30%割引という仕組みになっています。これが長距離割引(長距離逓減制)と呼ばれるものです。

例えば、現行制度下で普通車が高速道路を300km走行した場合の料金を試算してみましょう。割引適用後の通行料金はおよそ6,180円となり、もし割引が無ければ約7,530円かかるところです。長距離逓減制のおかげで約1,350円もの差額(割引)となっている計算です。このように長距離逓減制による割引額は通行料金にあらかじめ反映されているため、「○○円割引します」などと明示されることはありません。そのため大きく報道される機会も少なく、ドライバーへの認知度はそれほど高くない印象ですが、100km以上まとめて高速道路を走行すれば自動的に料金が安くなっているのです。

長距離逓減制は現行制度と新制度でどのように変わる?

写真:全国商工事業協同組合連合会 公式HP

この長距離逓減制ですが、深夜割引の見直しと同様に2025年7月に新制度へ移行する予定となっています。新しい制度では、400kmを超える走行に対して段階的に割引率を引き上げることになっています。具体的には現行制度と同じく400kmまでは30%割引を維持しつつ、401km以上600kmまでを40%割引、601kmから800kmまでを45%割引、800km超を50%割引とする計画です。つまり、これまで最大でも**30%だった割引率が新制度では最大50%**まで拡大されることになります。

新たな長距離割引により、一般のドライバーにとっても長距離ドライブ時の通行料金がよりお得になりますが、特に長距離走行が日常的な運送業者(トラック業界)にとって大きなメリットとなるはずです。今回の制度変更についてインターネット上では、深夜割引の適用範囲が現行の「午前0時〜4時に走行すれば全区間30%割引」から新制度では「22時〜5時の間に走行した区間のみ最大30%割引(後日ETCマイレージ還元方式)」に変わり、見方によっては時間的制約が厳しくなる(=事実上の割引縮小)内容であるという考えが広まっています。そのうえで、この長距離逓減制の拡充を深夜割引見直しと一体運用することで、ドライバーが無理に深夜帯に走行しなくても済むようにし、深夜走行による負担や危険を軽減させる狙いがあると推察しています。実際、長距離逓減制は昼夜を問わず常に適用される割引なので、深夜にこだわらず日中の移動でも十分な割引が得られる点は注目すべきポイントです。

約1000km走った場合、新制度で料金はどれくらい変わるのか

「割引率が拡大すると言っても、具体的にどれくらいお得になるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。ここで現行制度と新制度で高速料金にどれほど差が出るのか、約1000kmの長距離ドライブをモデルにシミュレーションしてみます。条件としてETC車の普通車で走行し、深夜割引など他の割引は一切適用しないものとします。東名高速道路の東京ICから中国自動車道の下関ICまで総距離985.2kmを走行すると仮定し、途中、割引適用区間ごと(各割引区間の直後)に一旦高速を降りたケースで現行と新制度の料金差を比較しました。結果は以下の通りです。

  1. 東京~長泉沼津(101.5km):3,090円 (現行=新制度:差額なし)
  2. 東京~浜松浜北(217.4km):5,390円 (現行=新制度:差額なし)
  3. 東京~草津田上(416.7km):現行 9,780円 → 新制度 9,750円 (-30円
  4. 東京~山陽(623.9km):現行 13,840円 → 新制度 13,240円 (-600円
  5. 東京~宮島スマートIC(806.7km):現行 17,340円 → 新制度 15,940円 (-1,400円
  6. 東京~下関(985.2km):現行 20,810円 → 新制度 18,510円 (-2,300円

上記シミュレーションの通り、普通車で約1000km近く走行した場合、新制度では現行より最大で2,300円も料金が安くなる結果となりました。日中に長距離ドライブする場合でも、新しい長距離割引制度によって高速料金をかなり節約できることが分かります。

一方で、深夜時間帯の割引(深夜割引)を利用する場合についても触れておきます。仮に現行制度で深夜割引(0~4時の走行全区間30%オフ)をフルに活用すると、先ほどの東京~下関間985.2kmの普通車料金は約14,570円まで低減されます。しかし見直し後の新深夜割引では、割引対象となる時間帯(22~5時)に走行した距離部分にしか割引が適用されません。仮に全985km中400kmを深夜帯(22~5時)に走行したとすると、新深夜割引による還元額は約2,250円(ETCマイレージへのポイント還元)にとどまります。この場合、長距離逓減制が従来のままだと通行料金は18,560円になりますが、新たな長距離割引が適用されれば16,260円まで料金が減額されます。深夜割引の見直しはユーザーにとって事実上の値上げとの指摘もありますが、長距離逓減制が拡大されなければさらなる負担増となっていたでしょう。長距離逓減制は深夜に走行しなくても常に適用される割引なので、新制度への拡充は高速道路ユーザーにとって歓迎すべき変更点と言えます。

なお、2025年7月に予定されていた高速道路料金の見直し(深夜割引の変更および長距離逓減制の拡充)は、システム不具合等の影響で開始時期が延期され現在(2025年8月時点)具体的な開始日は未定となっています。当面は現行の割引制度が継続される見通しですが、今後正式に新制度が運用開始された際には上述のような料金体系となることが見込まれます。高速道路を普段から利用する方は、最新の情報に注目しておくと良いでしょう。

通行止めで高速道路を途中下車したら長距離割引はどうなる?

最後に、長距離逓減制に関連して知っておきたいポイントとして、「高速道路を途中で降りた場合の扱い」について説明します。長距離逓減制など走行距離に応じた割引は、一度高速道路を降りてしまうと走行距離がリセットされてしまうのが原則です。そのため本来であれば、長距離割引を最大限受けるには最終目的地まで乗り継ぎなしで走行する必要があります。

では、渋滞や事故による通行止めに遭遇し、やむを得ず高速道路を途中退出(流出)しなければならなくなった場合、長距離割引はどうなってしまうのでしょうか。結論から言えば、このような場合には救済措置が講じられているので安心してください。ETC利用の場合、「同一のETCカード・同一車種」という条件を満たせば、再び高速に乗り継いだ際に自動的に未走行区間分を差し引いて通行料金を計算してくれます。つまりETC車であれば特別な手続きは不要で、降りたICから先の区間も走ったものとみなして長距離割引が継続適用される仕組みです。

一方、現金で支払っている場合はそのまま再度乗り直すと割引が途切れてしまうので注意が必要です。この場合は、途中退出するICの料金所でいったん通行料金を精算し、係員に**「高速道路通行止め乗継証明書」**(通称:乗継証明書)を発行してもらいましょう。そして最終的に降りる目的地ICの料金所でこの乗継証明書を提出すれば、未走行区間分を差し引いた割引後の料金で清算してもらえます。少し手間ではありますが、証明書を提示することで本来受けられるはずだった長距離割引がきちんと適用される仕組みです。万が一高速道路上で通行止めに遭遇してしまった際には、こうした対応をすることで損をしないようにしましょう。


長距離逓減制の存在や拡充内容は、深夜割引の改正ほど大々的に報じられていないため見落としがちですが、高速道路に長く乗れば乗るほどお得になる重要な制度です。特に長距離ドライブを計画している方や、運送業界の方々にとって今回の拡充は大きなメリットとなります。今後正式に新制度が導入された際には、ぜひ上手に活用して高速道路をお得に利用してください。

詳しくは、NEXCO各社による公式発表資料も併せて参照くださいw-nexco.co.jpw-nexco.co.jp

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