自動運転への取り組み
NTTグループは、アメリカの自動運転スタートアップMay Mobilityとのパートナーシップを通じて、日本における自動運転サービスの社会実装を加速させています。2023年11月にMay Mobilityへの出資および同社の自動運転システムの国内独占販売権を獲得し、協業を推進しています。
名古屋市での定期運行実証
2024年11月7日から2025年3月19日まで、愛知県名古屋市内で自動運転車両の定期運行が実施されています。このサービスは名古屋駅付近からSTATION Aiまでのルートを走行し、トヨタ自動車の「シエナ」をベースとした車両が使用されています。交通量の多い都市部における幹線道路での自動運転車両による定期運行は全国初の取り組みとなります。

調布市の実証拠点
2024年10月下旬からは、東京都調布市のNTT中央研修センタ(NTT e-City Labo)に自動運転の実証拠点が設立されました。この拠点では、May Mobilityの実証実験拠点として、遠隔監視機能を含む走行実証が行われています。NTTグループは、この実証拠点を通じて「机上検証と実車検証をセット」で推進できる環境を整備し、自動運転のノウハウ蓄積や試乗機会の創出を進めています。
多様な車両ラインナップ

ニーズに合わせた様々な車両ラインナップ
NTTグループでは、ニーズに合わせた複数の車両タイプを展開しています:
- May Mobilityとの協業による乗用車型(乗車定員4~5人)
- NTT西日本とNavyaによるコミュニティバス型(乗車定員13人)
- NTT東日本とティアフォーによる路線バス型(乗車定員24人)
自動運転の社会実装に向けた課題解決

様々な自動運転に関する交通関連の取り組み
NTTグループは自動運転の実用化に向けて、特に「社会受容性の確立」を重視しています。自動運転に対する忌避感を和らげるための取り組みとして、地域のステークホルダーとの対話や試乗機会の提供を行っています。
技術面では、ローカル5Gを活用し、自動運転車両でキャリア通信とローカル5Gをシームレスに切り替える技術を開発。これにより、キャリア通信が届かないエリアでも遠隔監視カメラの映像などを遅延なく送受信できるようにしています。
NTTは2030年代に自動運転車両の商業化を目指しており、年間売上1000億円以上を目標としています。
ドローン配送の取り組み
NTTグループは、ドローン技術を活用した物流・配送サービスの開発にも積極的に取り組んでいます。
災害時のドローン物流スキーム
NTT東日本長野支店は、2024年8月から長野県松本市において、自然災害時に孤立する可能性が高いエリアへのドローン物流による支援スキーム構築のための調査研究プロジェクトを開始しました。2025年1月の能登半島地震の経験から、被災地でのドローン活用の重要性と課題が明らかになりました。
このプロジェクトでは、以下の取り組みが行われています:
- 能登半島地震でのドローン物流実施状況の調査と課題の洗い出し
- 松本市の過去の災害時の孤立地域調査と最適なドローンポート候補地の選出
- 最適な飛行ルートの検討策定
- ペイロード(最大積載量)20kg以上のドローンの情報収集
2025年以降は、実際の飛行試験を含めた実証実験を実施する予定です。
長距離ドローン配送の実証
NTTコミュニケーションズは、沖縄県の豊見城市から座間味島への約40kmという長距離のドローン飛行による救援物資の運搬実証実験を成功させました。この実験では、「docomo IoT高精度GNSS位置情報サービス」を活用し、誤差数cmでの正確な着陸を実現しています。
都市部でのドローン配送
2016年には、楽天、自律制御システム研究所(ACSL)、NTTドコモが協力し、千葉市の国家戦略特区においてLTEを活用したドローン配送システムの実証実験を実施しました。この実験では、スマートフォンからの注文がドローンを用いた配送システムへ正常に反映されること、そしてLTEネットワークによる遠隔制御が安定的に行えることを確認しています。
また、2024年12月には、千葉県東庄町で国際ドローン協会と東庄町が協働でドローン物流の実証実験を実施。ドローンパークから約6.1km離れた東庄町役場まで弁当を安全に配送する実験が行われました。
今後の展望
NTTグループは、自動運転とドローン配送の両分野で技術開発と社会実装を進めています。特に、過疎地域や災害時の物資輸送、高齢者など買い物困難者への支援といった社会課題の解決に向けて、これらの技術の活用が期待されています。
自動運転については2030年代の商業化を目指し、ドローン配送については改正航空法の施行により「レベル4」(有人地帯での目視外飛行)が可能になったことで、さらなる展開が見込まれています。
NTTグループの強みである通信技術と地域に根差したネットワークを活かし、これらの次世代モビリティサービスが私たちの生活をどのように変えていくのか、今後の展開に注目です。